BATONER完全解説
BATONER完全解説
厳選3銘品の魅力に迫る
Editor : SHIRAKAWA HIDETAKA
山形県寒河江市に拠点を置く、ニットファクトリー奥山メリヤスが手がける、ニット専業ブランド、BATONER。
古くより繊維産業が盛んであった山形県にて1951年の創業以降、数多くのメゾンブランドのニット製品を手掛け続け、その技術を後世に受け継いでいくことを掲げてBATONERを設立した。
Amanojak.でも設立当初より取り扱っており、その高いクオリティーによってジャンルを越境して幅広い層に支持されている。
今回の特集では、BATONERのモノづくり、そして秋冬に向けて手にしていただきたいニットを厳選し、その特徴をピックアップしていく。

目次
-
Amanojak.が厳選する、BATONERの3銘品
-
MIDDLE WEIGHT INNOCENT CASHMERE DRIVERS KNIT
-贅沢を尽くして作り出した、「究極のふつう」。- -
各モデルの比較
-
サイズ選びのポイント
-
BATONERのニットの魅力を振り返る

山形県は古くは江戸時代より、冬場の農閑期に農家の生業となった養蚕、今でも伝統的に受け継がれる織物作りと繊維産業が盛んな地域であり、その中でも寒河江市は戦後において紡績業を確立。
それにより紡績、染色、編み立て、縫製を一貫して行うことのできる生産体制が作られ、そしてニット作りの高い技術が評価され、世界的に「ニットの聖地」とまで呼ばれるほどの立ち位置を確立した寒河江市は数多くのOEMが設立された。
その繊維産業の激動の最中に1951年に設立されたニットメーカーが、BATONERの源流となる奥山メリヤスである。

世界的ブランドから信頼を寄せられる技術
戦後から繊維産業が更に盛んとなった山形県。
高度経済成長期を経た昭和後期には、山形県内だけでピークで400社を超えるまでのニット関連企業を抱えていました。
そして市場の変化、作り手の高齢化による人手不足などの様々な要因によって、現在ではニット関連企業が20数社ほどまでに激減している中、奥山メリヤスが今もなお存続しているのは高い技術力にある。
奥山メリヤスはニットを作るうえでの一連の流れである、糸の紡績、各部位の編立、それを繋ぎ合わせるリンキング、縫い合わせ後の糸の始末、風合いを生み出す洗い、仕上げとなるプレス、これらを地域の生産背景と連携しながら一貫して一社で品質管理ができているのである。
それらを熟練した職人が行い、そして多くの工程で手作業でやることで、緻密で細かな調整によるモノづくりを可能としており、高いクオリティーのニットを作り出している。
そんな奥山メリヤスの確かな技術力を買われ、これまでにMaison Margiela、GUCCIといった名だたるメゾンブランドや、今もなお数多くのドメスティックブランドのニット製品を手掛けており、ニット作りの雄として確かな地位を現代に確立しているのだ。
そして、2013年にその技術を後世に受け継いでいくことを掲げて設立されたのが、BATONERである。

更なる高みへと受け継がれるBATON
ニット専業ブランドとして設立されたBATONERは、老舗ながらも今も存続し続けるほどの技術をもってして更なる発展を遂げている。
作りたいものを作るという熱いクラフトマンシップの下、それを実現するために最新鋭の機械の導入、糸からの紡績、その糸に合わせた編立といったことをより良いものを作るために常に探究し続けているのだ。
それだけではなく、定番商品であってもシーズンを追うごとに素材感、編立、シルエットを繊細に調整してアップデートするという、着る人にとって飽きを来させない基本の更なる追求。
これらの探求心は、他には作り出すことのできない一目でBATONERと分かる物を作る信念によるもの。
無地のシンプルなニットというモノづくりの極地とも言えるような狭い枠組みの中で、手にした時、着た時にBATONERであるということが理解してもらえるように心血を注いでいるのである。
BATONERという名称は造語であり、技術というBATONを後世へと受け継ぐ者という意味を込めて名付けられている。
その名称通りに、70年以上に渡って培われた技術によるハイクオリティーなニットが多くの人の手に渡り、これからも受け継がれることを真剣にBATONERは取り組んでいるのだ。
最新が最高と言えるようなBATONERの珠玉のニットを体感していただきたい。

Amanojak.が厳選する、BATONERの3銘品
数あるBATONERのニットの中から、今回Amanojak.が厳選したのは、ブランドのものづくりをそれぞれ異なる角度から体感できる3型。
強撚によってウールの印象を大きく変えた、軽快でドライな着心地のHARD TWIST WOOLRIB DRIVERS KNIT。
BATONER独自のSOLID WOOLを用い、立体的な編み地と温かみのある表情でブランドを象徴するSIGNATURE DRIVERS KNIT。
そして、上質なカシミヤの柔らかさ、軽さ、保温性を突き詰めたMIDDLE WEIGHT INNOCENT CASHMERE DRIVERS KNIT。
素材、厚み、肌触り、着こなしの方向性はそれぞれ異なるが、どの一着にも共通しているのは、シンプルなニットを技術によって更新し続けるBATONERの姿勢。
ブランドらしさを最も分かりやすく体感でき、なおかつそれぞれ異なる役割で秋冬のスタイリングに取り入れられることから、この3型を今回の特集に選んだ。

HARD TWIST WOOLRIB DRIVERS KNIT
-ウールの常識を強撚で塗り替えた、未体験の着心地。-
一番に特筆すべき点は、メリノウールによる超強撚糸を贅沢に100%使用した、HARD TWIST WOOL
繊維を強く撚って糸にすることで引き締まった質感となっており、それを多く使用して度を詰めて編むことで、毛羽立ちのない非常にドライな肌触りを生み出している。
非常にカリッとしたドライなタッチは、もはやウールであることを忘れるほどの驚きのタッチとなっている。
メリノウールは保温性に優れていることはもちろん、速乾吸湿性に優れていることが特徴。
そんな素材をドライな肌触りにすることで、暖かく着ることができながらも、熱くなり過ぎて汗をかいても即座に快適な着心地にしてくれる、メリノウールのメリットをフルに発揮しているのである。

ニット特有のほっこり感や毛羽感を抑えて細やかな畔編みにすることで、洗練された上品な表情を生み出していることも特徴。
温かみのある素朴な風合いの"らしさ"溢れるニットとは対極の洗練された質感となっており、スタイリングのテイストを問わないクリーンなニットへと昇華している。
型崩れをしにくい特性も備えた素材のため、着ているうちに不格好にならずに洗練されたムードを崩さないことも魅力である。
毛羽立ちが少ないことにより繊維の絡まりが抑えられており、毛玉ができにくいことも特筆すべき点である。
ウールのキューティクルが絡まることで毛玉ができるのであるが、そんなストレスを一切感じさせずにケアをする手間が最小限に抑えられているのはなんとも嬉しいところである。
更にウール100%でありながらも手洗いが可能であることも非常に魅力的だ。
程よく薄手の編立で、一枚での着用やコートの中に着ることはもちろんのこと、ジャケットの中にもレイヤードできる、幅広いスタイリング性を備えている。
美しい質感、扱いやすいケア性、高いレイヤード性などの様々な特性を備えたニットである。

【BATONER】HARD TWIST WOOLRIB DRIVERS KNIT
¥46,200-(in tax)

SIGNATURE DRIVERS KNIT
-ニットの定説を覆して生まれた、BATONERの象徴。-
BATONERがオリジナルで作り上げたSOLID WOOL糸による、同ブランドの象徴のSIGNATURE SERIES及びSOLID WOOLの名を冠するアイテム。
最高級のメリノウールの中から更に良質な部分を刈りだしたスーパーファインメリノウールを贅沢に原料にして、更に櫛でコーミング加工を行って梳毛ウール糸に仕上げて、それから丁寧にニッティングした、BATONERのこだわりとクラフトマンシップによる珠玉の逸品である。
「ローゲージのニットは紡毛ウールでつくるものだ」という定説をある意味で無視して作りあげた、これまでにない驚きのニットだ。

表面が毛羽立った紡毛ではなく滑らかな梳毛で編みたてることで、品と落ち着きのある光沢、素肌に着られるほどにチクチク感の一切ない肌触り、毛のキューティクルが整っていることで毛玉が非常に起こりにくいといった、ニットとしては驚くべき機能性を実現している。
更になんと毛玉のなりにくさにおいては、ピリング試験で良いウールは通常1級~2級とされているところ、SIGNATURE SERIESは4.5級という検査結果を取得するほどだ。
ニット特有の手法である減らし目・増やし目という編み方と昔からあるリンキングというニットならではの縫製を組み合わせて、独自の斜めの肩のラインがアイコニックな畔編みのニットとなっていることが、SIGNATURE SERIESの特徴となっている。

【BATONER】SIGNATURE DRIVERS KNIT -WOOL-
¥39,600-(in tax)

MIDDLE WEIGHT INNOCENT CASHMERE DRIVERS KNIT
-贅を尽くして作り出した、「究極のふつう」。-
ファクトリーブランドであるBATONERだが、その製造元、デザイン元となる奥山メリヤスのオーナー、奥山氏が「究極のふつう」の名に相応しいと言う、INNOCENT CASHMERE。
INNOCENT CASHMEREは、奥山メリヤスの有する希少なカシミヤニットのアーカイブから着想を得て開発された。
寒暖差のある厳しい気候の地域で飼育された、「カシミヤゴート」という山羊から採取された、原料の中でも特に均一なクオリティの部分だけを丁寧に糸に仕立てた特別な素材である。

糸の断面が丸みを帯びていることで毛羽立ち過ぎず、すっきりとした風合いと雑味のない綺麗な表情が特徴となっている。
柔らかくて軽く、繊細なカシミヤの繊維が温かさを逃さないことも魅力。
肌触りにおいては、ヌメ感すら感じる引っ掛かりのない滑らかさと肌と有機的に一体化するようなしっとり感は、このINNOCENT CASHMEREならでは。
カシミヤの特色を究極的にアップデートしつつも、ただ見た目はベーシックでスタンダード。
これが「究極のふつう」だと奥山氏が言う所以だ。

【BATONER】MIDDLE WEIGHT INNOCENT CASHMERE DRIVERS KNIT
¥83,600-(in tax)

各モデルの比較
ここまで紹介してきた3型は、いずれもBATONERの高い技術力を体感できる一着でありながら、その個性は大きく異なる。
ドライで軽快なHARD TWIST WOOLRIB、温かみと存在感を備えたSIGNATURE、そしてカシミヤならではの上質さを極めたINNOCENT CASHMERE。
肌触りや質感はもちろん、厚み、保温性、スタイリングにおける役割まで、それぞれに明確な違いがある。
自分にとって最適な一着を選ぶために、3銘品それぞれの特徴を比較していこう。


サイズ選びのポイント
BATONERのニットを選ぶうえで、素材や編み地と同じくらい重要なのがサイズ選びである。
下記を参照して自分に適したサイズを選んでいただきたい。

補足となるが、ニットの質感、素材、編立によってフィット感が僅かに変わってくるため、「BATONERのあのアイテムで2を着ているから、これも同じサイズで。」という選び方ではなく、そのアイテムの素材感や厚み、そしてどのようにスタイリングしたいのかまで含めて考えることが重要となる。
ジャケットやコートのインナーとして着るなら、ジャスト〜ややコンパクトに。
シャツなどを中に重ねるなら、少しゆとりのあるサイズを。
一枚でスタイリングの主役として着るなら、求めるシルエットに合わせて選ぶ。
単純に数字だけで決めるのではなく、その一着をどのように着たいのかまで含めて選ぶことが大切なのである。
もしサイズ選びに不安な点がありましたら、お気軽にご連絡ください。
スタッフの着用画像もお送りすることもできます。

BATONERのニットの魅力を振り返る
ここまでBATONERのものづくりから、Amanojak.が厳選した3銘品、それぞれの特徴、そしてサイズ選びまで紐解いてきた。
改めて振り返ると、BATONERの魅力は単に「上質な素材を使ったニット」という言葉だけでは語り切れない。
糸の特性を見極め、それに適した編み方を考え、着心地やシルエット、耐久性に至るまで細かく調整する。
一見すると極めてシンプルなニットでありながら、袖を通した瞬間に違いを感じさせるのは、70年以上に渡って培われてきた技術と、今なおアップデートを続ける探究心が一着の中に凝縮されているからなのである。

今回紹介した3型も、その方向性はそれぞれ異なる。
軽快でドライなHARD TWIST WOOLRIB、BATONERらしい立体感と温かみを象徴するSIGNATURE、そして素材そのものの上質さを突き詰めたINNOCENT CASHMERE。
どれが優れているということではなく、着る季節、スタイリング、求める肌触りや暖かさによって、自分にとっての最適な一着は変わってくる。
そして、BATONERのニットを語るうえでもうひとつ欠かせないのが、長く着ることで生まれる変化である。
着用を重ねることで編み地が少しずつ身体に馴染み、最初とはまた違った柔らかさや落ち着いた表情へと変化していく。
レザーやデニムのように大きく姿を変える経年変化ではないが、着る人の身体や生活に寄り添いながら、徐々に自分の一着になっていく。

一方で、長く付き合うためには日々のケアも重要となる。
着用後は連日の着用を避けてニットを休ませ、表面の埃や繊維を軽くブラッシングするだけでも、毛羽立ちや毛玉の予防につながる。
保管する際にはハンガーに掛け続けるのではなく、形を整えて畳んで保管することで、肩や着丈の伸びを防ぎやすい。
また、洗濯方法については素材や編み方によって異なるため、必ずそれぞれのアイテムに付属する品質表示に従ってケアしていただきたい。
高い耐久性を備えたニットであっても、扱い方ひとつでその美しい状態を保てる期間は大きく変わる。

だからこそ、BATONERは「買った瞬間が完成」ではなく、着て、休ませ、手入れをしながら、自分のワードローブの中で育てていくことのできるニットなのである。
流行やシーズンだけで消費するのではなく、何年も袖を通したくなる一着。
シンプルなニットという限られた領域の中で、素材、技術、着心地、そして耐久性までを追求し続けること。
それこそが、BATONERというブランドが長年に渡って支持され続ける理由なのではないだろうか。

ぜひ、自分のスタイルに合ったBATONERを選び、時間をかけてその魅力を体感していただきたい。
また、サイズ感、スタイリング、レイヤード可能なアイテムの組み合わせなど、気になる点があればお気軽にお問い合わせを。
ニット選びのサポートをスタッフがお手伝いさせていただきます。
