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Amanojak.Amanojak.

FRACTION 27SS
ORDER MEETING
-反道徳的な美と、
暴力的な囚われ-

惹かれることの輪郭

【FRACTION】
27SS ORDER MEETING

2026年8月15日(土)から23日(日)まで、Amanojak.オンラインストアと北千住店にて、FRACTION 27SS ORDER MEETINGを開催する。ブランドページを見る

今季、FRACTIONが掲げた主題は、

「反道徳的な美と、暴力的な囚われ」

着想源となったのは、トーマス・マンの小説『ヴェニスに死す』である。

この物語で描かれるのは、理性や社会的な規範だけでは説明することのできない、美の作用である。人は、すべてを理解したうえで何かに惹かれるわけではない。理由を見つけるよりも先に心を動かされ、やがて、その存在が思考の大部分を占めるようになる。

FRACTIONがいう「反道徳的な美」とは、善悪を単純に反転させたものではない。既成の価値基準や合理性の外側にありながら、確かな魅力を持つ美を指している。

また、「暴力的な囚われ」という言葉が示すのも、直接的な攻撃性ではない。それは、自らの意思だけでは制御できないほど強く惹かれることの比喩であり、美が人の感覚へ及ぼす圧倒的な力を表している。

美に惹かれ、その存在を心に留めようとすること。対象から影響を受けながら、自らもまた、その価値を深く理解しようとすること。

今季のFRACTIONは、その相互的な関係を衣服へ置き換えている。


コレクションの背景には、デザイナーが過ごした半年間の実感がある。

生活の中では、何かが生まれ、役割を終え、また別の形へと移っていく。昨日から今日へと連続しているように見える日常も、絶えず小さな変化を内包している。

平穏な時間の連続性と、その流れが切り替わる非連続性。両者を行き来する中で、普段は意識することのない時間の輪郭が明確になる。

デザイナーは、この半年間を、

「あまりに速すぎる、あるいは遅すぎるものへの考察に囚われた」

と表現している。

出来事は、感情が理解するよりも速く進むことがある。一方で、記憶や愛着は、環境が変化した後にもゆっくりと残り続ける。

現実と感情は、常に同じ速度で進むわけではない。その時間差の中に、人が何かを大切に思い、長く心へ留め続ける理由がある。

ここでいう執着とは、愛着がより高い濃度を持った状態とも考えられる。FRACTION 27SSは、その目に見えない感覚を、衣服の構造と素材によって可視化している。


FRACTIONが継続して扱ってきた「緊張と解放」。今季、その関係を具体化するために選ばれたのが「緊縛」である。

コレクションに現れるボンデージやループのディテールは、身体との接点を明確にし、衣服を一つの位置へ留めるための造形でもある。

結ぶ。留める。つなぐ。

これらの行為は、対象との関係を確かなものにする。大切なものを身近に置き、容易には離れないように形を与えるという点において、愛着の直接的な表現とも解釈できる。

また、衣服に張力が生まれることで、着る者は自身の輪郭を強く意識する。ループやストラップは単なる装飾ではなく、身体と衣服の間に適度な緊張をつくり、シルエットと動作を際立たせる。

張力があるから、緩みが生まれる。重さがあるから、軽さが際立つ。

緊張と解放。静止と運動。愛着と執着。

FRACTIONは、これらをどちらか一方へ整理することなく、一つの身体の上に共存させる。その均衡に、ブランド固有の造形美がある。


今季の中心に据えられたのは、デザイナーの家族のルーツである奈良県御所市とも縁の深い皮革文化と、中国・杭州に受け継がれる絹文化である。

重厚なレザーは身体の輪郭を明確にし、着用を重ねることで艶や皺を蓄積していく。対してシルクは空気を含み、光や風、身体の動きに応じて、瞬間ごとに異なる表情を見せる。

レザーが時間を蓄積する素材だとすれば、シルクは時間の動きを映し出す素材ともいえる。

一つは、ゆっくりと変化する。
もう一つは、わずかな動きにも即座に反応する。

この対比は、単なる異素材の組み合わせではない。デザイナーが考察してきた、異なる速度を持つ時間の感覚を、素材へ翻訳したものとして読むことができる。

身体へ沿いながら存在感を増していくレザーと、身体の周囲に余白をつくるシルク。留まるものと移ろうものが一つの造形の中で響き合うことで、執着が持つ重厚さとロマンティシズムが立ち上がる。


ルックに登場するオッドアイのモデルたちは、かつて中国の実家の軒先にいた、真っ白な長毛と左右異なる瞳を持つ猫へのオマージュだという。

社会、道徳、時間といった普遍的な問いから構築されたコレクションの内部に、極めて個人的な記憶が置かれている。

一見すると小さな記憶が、現在の美意識を形づくる重要な要素になる。他者と共有できる歴史だけではなく、個人の内側に残る断片からも、創造は始まる。

それは、「断片」や「一部分」を意味するFRACTIONというブランド名にも通じる。

左右で異なる色を持つ瞳は、一つの対象に複数の見え方が存在することも想起させる。

強さの中に繊細さがあり、重さの中に軽やかさがある。愛着は、ときに執着と呼べるほどの強度を持つ。

相反する要素が同時に存在することで、一つの価値観では捉えきれない奥行きが生まれている。


現在のファッションは、極めて速い速度で更新されている。

だからこそ、背景を知り、素材へ触れ、構造を確認し、実際に身体を通す時間には意味がある。短時間では把握しきれない要素が残されているからこそ、衣服と着る者との関係は長く継続する。

Amanojak.がFRACTIONを評価する理由も、そこにある。

服は、思想を説明するための図解ではない。
思想を身体に発生させるものである。

レザーの重さによって姿勢が変わり、ループやストラップによって身体の輪郭が強調される。シルクは動作からわずかに遅れて揺れ、身体と衣服の間に時間差をつくる。

「緊張と解放」という抽象的な言葉が、着用した瞬間、重さ、張力、揺れ、肌触りへと変換される。

何かに惹かれること。愛着を持つこと。その存在を長く心に留めること。

FRACTION 27SSは、美が持つ抗いがたい強度と、対象との関係が深まっていく過程を、一着の衣服として提示したコレクションである。

8月15日(土)と22日(土)には、デザイナー中野皓氏が北千住店に在店する。制作の背景や素材の選択、各ディテールに込められた意図を直接聞くことのできる機会となる。

視覚だけでは捉えきれない素材と構造の緊張を、実際の身体で確かめてほしい。


【FRACTION】
27SS ORDER MEETING

会期
2026年8月15日(土)〜8月23日(日)

会場
Amanojak.オンラインストア
Amanojak.北千住店

デザイナー在店日
8月15日(土)、8月22日(土)

オンラインストア
ブランドページを見る


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